【希望日時をお伝えください!】 工場見学の相談はこちら

【海外生産コストがなぜ急上昇⁉】サン・クリーク/岐阜縫製工場

日本のアパレルメーカーが中国や東南アジア、バングラデシュなどで生産を行うのは珍しくありません。

しかし、近年そのコストが大きく上昇し、企業にとって深刻な課題となっているみたいなんです。

今回は、2020年から2025年3月までの5年間でどのようにコストが変化したのか、少し調べてみましたので、まとめながら解説していきますね。

目次

1. 原材料コストの急上昇

アパレル製品の命ともいえる綿やポリエステルなどの原材料が、この5年で大幅に値上がりしています。

綿花の価格上昇

2020年初頭、綿花の価格は1ポンドあたり約130-140円と安定していました。

しかし、コロナ禍での供給混乱や需要急増を受け、2022年には20%増え、160円台に。

その後少し落ち着いたものの、2025年現在も180-190円と30〜50%高い水準が続いています。

ポリエステル価格と原油の影響

ポリエステルは石油由来のため、原油価格に連動します。

2020年に一時40ドル以下だったWTI原油価格は、2022年に100ドル近くまで急騰し、ポリエステル価格も140%上昇。2025年現在は70〜90ドル程度で推移しており、2020年比で50〜70%増の状態です。

日本円でもう少しわかりやすく考えると、、

2020年は原油が40ドルで、ポリエステルも4,320円くらいだったとします。

2022年に原油が100ドルまで上がって2.5倍になり、ポリエステルは約12,632円と約3倍に跳ねました。

今(2025年)は原油が70~90ドルで、ポリエステルは8,760~9,928円くらい。2020年と比べると2倍ちょっとですね。

円安の影響で、日本円で見ると値上がりがより大きく感じますね。

為替の影響

さらに、日本企業にとって大きな負担となっているのが、、そう。。円安です。

2020年に1ドル約105円だった為替レートは、2025年3月時点で150円前後(仮定値)まで下落し、

40%の円安が進行

そのため、ドル建てで原材料を調達する企業には大きな痛手となっています。

2. 輸出入コストの急騰

海外生産には、原材料の輸入や完成品の輸出が欠かせません。その輸送費がこの5年間で大きく増加しました。

海上運賃の上昇

コロナ禍での物流混乱により、コンテナ運賃が急騰。

例えば、40フィート(一般的なコンテナ、Tシャツ10万着くらい詰め込めるらしいです)

2020年、日本-中国間は15-20万円ほど、原材料費の高騰理由と同様にコロナ禍での供給混乱や需要急増を受け、2022年には45万円。ここから少しづつ落着き、2025年現在では、25-30万円ほど。

2020年比で日本-アジア圏で1.5~2倍、アメリカで1.75~2.5倍増加しています。

燃料費の増加

輸送に欠かせない燃料費も原油高に連動し、2020年比で100〜150%増。

2025年現在でも50〜80%増の高い水準が続いています。

円安の影響

輸送費がドル建ての場合、円安が進むほど日本企業の負担が増加。

輸出入コスト全体に40%の上乗せ効果をもたらしました。

3. トータルコストへの影響と今後の課題

原材料コストが50〜100%増、輸出入コストが100〜200%増となると、総コストの上昇は避けられません。企業ごとの調達戦略や為替対策によって差はありますが、平均70〜150%増が現状です。

例えば、2020年に1着1,000円で作れた服が、今では1,700〜2,500円かかる計算になります。

この影響で、以下のような選択を迫られている企業もあるそうです

• 製品の値上げ:消費者負担増

• 利益削減:価格維持による利益圧縮

• サプライチェーンの見直し:国内生産回帰やサステナブル素材の活用

最後に

2025年3月現在、為替や国際市場の動向は依然不安定です。引き続き注視していく必要がありますね。

海外の原材料費や輸送費の上昇に加え、円安で輸入コストの増加により、総合的に見ると国内生産がコスト競争力を発揮するケースが増えています。しかし、日本の物価も高いですよね。

ですが、高品質で信頼性の高い製品を提供できる強みが国内の縫製工場にはあると思っています。

例えば、品質のばらつきや納期が遅れるリスク、コミュニケーションの問題など、どれをとっても考えると心配が少ないですよね。

サン・クリークでも、高品質・納期の徹底・柔軟な対応ができる環境を整えております。

工場選びにお悩みの方はいつでもご相談ください!

また、今回紹介したデータは業界全体の推定値であり、実際の上昇率は企業や素材によって異なりますので、より詳しく知りたい方は、経済産業省やJETROのデータをご覧ください。

参考資料

東京商工リサーチ 原材料・資材の「調達難・コスト上昇に関するアンケート」

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197101_1527.html

この記事を書いた人

小木曽 晴美

縫製業界25年以上|累計縫製件数3500件以上

岐阜の縫製工場「サン・クリーク」の代表取締役として、理想の服づくりをお手伝いしております。専門知識や経験をもとに、岐阜で縫製をご検討する方に向けたお役立ち情報をご提供します。

目次