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【縫製工場のリアルVol.1|裁断担当の1日】岐阜縫製工場/サン・クリーク

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Vol.1|裁断担当の1日

私は見習いの裁断職人。

この道50年の師匠と一緒に、毎日現場に立っている。

9:00|加工仕様書・型紙と向き合う

この日は、新しいワンピースの仕事に取り掛かる日。

前日までに届いていた生地を確認しながら、師匠と加工仕様書を読み込む。

生地番号、質感、生地幅。そして、パーツごとの合印やタックの位置――。

1パーツずつ型紙を並べ、型紙に切り込み線を入れていく。

「ここはここに合わせて…」「このタックは…」

地味な作業。でも、ここがすべての始まり。

10:00|型入れは“テトリス”みたい

方眼紙に型紙を模写していく。

この時間が私は好きだ。でも、ミスは許されない。

しばらくじっと考えていたかと思えば、師匠の手がスッと動き出す。

型紙を迷いなく配置していく姿は、まさにテトリス職人。

しかも、型紙の間隔は5mm以下。用尺を10センチ縮めることも珍しくない。

型紙の配置が決まったら、一気に模写していった。

12時過ぎ、ようやく表地・芯それぞれの型紙写しが完了。

13:00|指差し呼称から始まる

型入れが終わったら、型紙の数、左右、裏表、写し忘れ――

「指差し呼称」でひとつひとつ確認していく。

確認。積み重ねるのは生地だけじゃない。信頼も同じ。

だから“まあ、いいか”は絶対ない。

いよいよ延反機(えんたんき)で生地を積んでいく。

1枚1枚、手と目を使ってキズや汚れ、シワがないかを確かめる。

積み重ねるたびに集中力も増していく。

今回は3色展開。生地幅の広い方からスタート。

15:30|いよいよ裁断

積み終えた生地の上に型紙をセット。

2回目の指差し呼称で確認したら、裁断準備。

地の目線は定規で調整、紙がずれないようにまち針を刺していく。クリップで止めたらいよいよ開始。

カッターが走る音が、工場に響く。

師匠とは向かい同士になって裁断を協力して進める。いつもこの裁断機を握るときは、少し緊張する。

少しのズレが、すべてのミスの原因となり、狂わせる世界。

でもここには、ずっと受け継がれてきた「精度」がある。

今日も、私は師匠の技術を貪欲に盗んでいきます。

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