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服づくりで、一番「怖い」のは何か
40年以上、縫製工場で服を作ってきました。
その中で「これは怖いな」と感じるのは、実は大きなミスそのものではありません。
小さな違和感に誰も気づかないまま、作業だけが進んでしまうこと。実際、現場ではこれが一番怖いのです。

裁断してから気づいても、もう戻れない
たとえば、仕様書の認識が少しズレていたとします。縫製を始めた段階で気づければ、まだ修正できます。でも、裁断まで進んでしまっていたら、一度切った生地は、二度と元には戻りません。
だから私たちは、初めて扱う仕様書ほど、細かく確認するようにしています。「ここはこの仕様で合っているかな」と
少しでも引っかかったら、そのまま作業を進めません。
そしてすぐに、メーカー様に確認を取り、認識をすり合わせてから次の工程へ。
その場では、ほんの数分のやりとりです。でも、この数分を惜しんだせいで、後から大きな手戻りになることを、これまで何度も見てきました。
「たぶん大丈夫」が、一番怖い
服づくりでは、判断に迷う場面が必ず出てきます。生地の状態、縫製の仕様、仕上がりのイメージ。
そういうとき、「たぶん、こういうことだろう」と自分の判断だけで進めてしまうのが、一番怖い。
分からないことは、確認する。
気になることがあれば、一度立ち止まる。
当たり前のようですが、これを徹底することを大事にしています。
それでも、問題が起きることはあります
40年以上この仕事をしてきて、「取り返しのつかない事案」になった経験はありません。
とはいえ、ものづくりである以上、小さな問題や確認事項が一切出てこない、ということもありません。
大事なのは、そこからどう動くか。問題に気づいたら、できるだけ早くメーカー様にお伝えする。そして「どうすれば予定通り進められるか」「どこを変更すれば良いか」を、一緒に考える。
隠したまま進めて後から大きな問題にするより、早い段階で相談したほうがいい。
当然のことですが、これは、現場に40年以上いて実感してきたことです。
工場は、「言われた通りに縫う」だけの存在じゃない
メーカー様には、ブランドとして大切にしていることがあります。
私たちには、縫製工場として現場で見てきた経験があります。
だからこそ、仕様書通りに作るだけでなく、
「ここは確認しておいたほうがいいですよ」「この生地なら、こちらの方法のほうがきれいに仕上がります」
とお伝えすることも、私たちの役割だと思っています。
もちろん、最終的に決めるのはメーカー様です。それでも、問題になる前に気づいたことを伝える。
それもまた、OEMで一緒に服を作っていく上で、工場が担うべき役割だと考えています。

一番怖いのは、「失敗」ではない
服づくりで本当に怖いのは、失敗そのものではありません。失敗につながる小さな違和感を、見過ごしてしまうことです。
だから、「確認する。」「迷ったら相談する。」「問題があれば、早く伝える。」
当たり前のことばかりですが、30年以上続けてきたからこそ、この当たり前の積み重ねが一番大切だと感じています。
一着の服が完成するまでには、数えきれないほどの工程があります。
その一つひとつで「これで大丈夫か」と確かめながら
私たちは、メーカー様と一緒に服を作り続けています。

この記事を書いた人
小木曽 晴美
縫製業界25年以上|累計縫製件数3500件以上
岐阜の縫製工場「サン・クリーク」の代表取締役として、理想の服づくりをお手伝いしております。専門知識や経験をもとに、岐阜で縫製をご検討する方に向けたお役立ち情報をご提供します。
